記者の取材ネタに
「高校野球」があります。
やはり国民的スポーツだけあって
甲子園に向け戦う学生選手が気になる人も多く、
高校野球は大きなトピックの一つとなっています。
テレビの場合は
1試合を1分~3分のニュースにするのが仕事で、
2時間ほどのゲームの見どころを
凝縮する力が求められます。
野球経験者であれば
ある程度大事な場面というのは
把握しやすいですが、
全くスポーツ経験がなくても
野球担当を任せられることもあります。
さらには、甲子園での取材を任されることも!
どんな風に記事を書けばいいのか
テレビ局の元記者の視点で
書き方を教えていきたいと思います。
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Contents
元記者の高校野球経験
そもそもの前提として
元記者の私がどのくらい野球を知っているのかについて
伝えておきます。
私は小学校から大学まで
ずっと野球を続けてきたので、
ルールについては熟知しているつもりです。
高校野球や甲子園も
球場やテレビでよく観るタイプでした。
また、オカルト的ではありますが、
試合にはピッチングやバッティング、守備などの
実力のほかに
「流れ」というものもあります。
私もスポーツマンとして
もちろん大事にしている感覚です。
スポーツでは
会場の雰囲気や選手の感情など
精神面の変化が
結果に影響することも多々あります。
経験者であれば
この目に見えない力を信じる傾向があり、
ニュースでも
「このプレーが後の命運を分ける」
というような構成にすると
玄人がうなるハイライトをつくることができます。
どんな場面を取り上げると
そのような原稿を書くことができるのかは
後ほど紹介していきます。
高校野球取材で原稿の基本的な書き方
球場に行ったら、
スコアブックに記入しながら
構成を考えます。
記録員と違うのは
取材の一環でプレーの“時間”を記入すること。
このプレーが〇時〇分に起きたということを把握していないと
映像を編集するときに
いちいち探す時間がとられてしまうからです。
取材した原稿は、
特異な例(スター選手がいる、プレースタイルが斬新 など)を除き、
ごく普通な試合展開であった場合には、
①先制点はどっち
②追加点or逆転
③(勝っている方の)ピッチング
④ダメ押しの追加点
⑤「〇〇高校が〇回戦進出」
⑥活躍した選手のインタビュー
という流れになります。
やはり目に見えている得点シーンが
一番大事なので
確実に伝えていきます。
ただ、明らかに点差が離れている場合、
7対0の8点目などは
誰も興味がないので書く必要はありません。
大差の場合は
コールドゲームが成立する
5回以降の10点差、7回以降の7点差を
気にしていれば取材中は大丈夫です。
高校野球取材の特異な例
基本は抑えつつも
イレギュラーなパターンにも
対応できないといけません。
というか
ほぼすべての試合・チームに
何かしら特別な状況があるので、
それをあらかじめ整理しておく必要があります。
チームの情報については
大会前に各高校にアンケートを取ることで
集められるので、
それをしっかり読み込んでおきましょう。
たとえば
エースが150キロを超えるストレートを投げる、
4番打者が公式戦で通算40本以上のホームランを打っているなど
明らかに甲子園や将来プロ野球界でも
活躍しそうな選手がいる場合は、
野球ファンの視聴者全員が注目しているので
その子の成績をしっかりと追ってください。
地方であればなかなかそんなパターンはないですが、
監督とキャプテンが親子、
1年生から公式戦に出ている、
チーム唯一の3年生など
田舎ならではのドラマがあるはずなので
取材の中で情報収集していきましょう。
好投手・強打者がいるチーム
プロに行きそうな選手がいる場合は
原稿もその選手中心にします。
投手であれば
試合展開を追いつつ
ピッチングを見せていきます。
①〇〇投手の立ち上がり
②得点「味方も援護します」
③〇〇投手も勢いづいて〇回〇失点の好投
④打線は…で〇安打の猛攻
⑤〇回戦に進出
という感じですね。
投手と打線を交互に見せていくという感覚で
書いていくといいでしょう。
カメラマンには
その投手を主に撮影してもらうように
お願いしましょう。
三振を奪った時の表情や
ピンチを迎えたときの顔などを
アップで狙ってもらうといいです。
2人の対比
親子やライバルなど
試合中の2人の様子をそれぞれ見せると
アツい戦いであることを演出できます。
監督と選手が親子である場合は
選手が打席に立った時に
選手越しの監督を撮影してもらうなどの
工夫があると映像が面白くなります。
原稿上では親子関係について
冒頭で一言触れるくらいでもいいです。
その後は息子が打った時の監督の表情を
狙ってもらいましょう。
「父親の期待にしっかり応え」などと締めくくり
最後のインタビューで
「お父さん(監督)には何と声をかけられましたか?」と聞いて
“親子で掴んだ勝利”というタイトルをつければ完成です。
そのまま甲子園に行くことができたら、
なおドラマが広がりますね。
高校野球取材の極意|「流れ」を読む
さて、冒頭で書いた「流れ」についてですが、
目に見えないと言いつつも
だいたい決まったパターンがあります。
①ピンチを凌いだ裏の回で逆転
②簡単な打球をエラーした直後にホームランを浴びる
③最終回の猛攻に会場が負けチームを応援→逆転される
通常ではありえないような逆転やエラーが起きるのが
「流れ」の力なんです。
実力の差が大きければ
弱い方が先制しようが、
序盤を0点に抑えようが、
後半の大量得点で
気が付いたらコールドゲームみたいな
展開になることが多いです。
強豪校と弱小校の試合では
「流れ」が試合に影響することはごく稀です。
ただ、ある程度拮抗していたり、
初顔合わせで実力が誰にも計り知れない場合は
メンタルによる影響が大きく出ることがあります。
やはり甲子園を懸けた戦いなので
会場全体に緊張感が漂っていて、
そこにいる全員が雰囲気を感じ取っています。
「あんなに守備のうまい選手だったのに…」とか
「人生でホームランを打ったことのなかった選手が…」ということが
当たり前のように起きてしまう。
ここに高校野球の醍醐味があります。
甲子園では毎年のように“奇跡”が起きていて、
夏になると「伝説の名勝負総ざらい」のように
特別番組が放送されるので
観てみると面白さが分かり、
早く取材してみたくなると思います。
高校野球取材の原稿で使う文言
スポーツニュースを見ていると
甲子園などで野球特有の表現を耳にすることがあると思います。
通常のニュースとは書き方が全然違うため
慣れるまでに時間がかかります。
私は先輩方が過去に書いた原稿を見て
だいたいの流れを学びました。
また、その当時の
テロップ、ナレーションの入った
映像も見ることができるので、
原稿やスコアと照らし合わせたうえで
どのシーンを抜き出しているかを
研究しました。
初めての場合は
経験者と一緒に甲子園予選の
秋の大会を取材させてもらえます。
ニュースの原稿は経験者の方が書いて
自分はそのやり方を見ながら
実際に原稿を練習で書いてみます。
経験を積み重ねて
甲子園予選の夏の大会に臨むという流れです。
高校野球取材の感想
仕事をしながら高校野球が観られるので、
野球経験者の私は
初めて高校野球取材に携わったときは
すごく得をした気分になったのを覚えています。
ただ、
この試合をどうまとめよう?とか
インタビューでは誰にどんなことを聞こう?とか
いろいろ考えながら試合を観ているので
完全にリラックスして楽しむことはできませんでしたね。
それでも野球が嫌いになるということは
ありませんでしたね。
その日の夜普通にBSでプロ野球を観たり、
熱闘甲子園を観たりすることも
ザラでしたし。(笑)
高校野球取材|まとめ
高校野球取材についてまとめてきました。
早く現場に出たいという人もいるかと思います。
テレビのニュースでも
どんな原稿を書いているかをチェックすることはできるので、
本気で研究したい人は
甲子園での試合のニュースが放送されたときに
ナレーションを文字起こしするなどしてみても
十分練習になると思います。
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